アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.47

「アジサイの花」

アジサイの花

梅雨には雨に濡れたアジサイの花がよく似合う。素人でも挿し木で簡単に育ち、下手な剪定でも新芽が伸びて、梅雨時になると見事な花を咲かせてくれる。我が家の庭にもちょうど今、青やピンクの5〜6種類のアジサイの花が咲いている。

アジサイの日本の漢字表記は「紫陽花」だが、むかし中国の唐の詩人がライラックの花につけた名前を、平安時代に日本で誤ってアジサイの花の名前として広まったとされる。私が付けるとしたらアジサイの語源の「藍色が集まったもの」を意味する「集真藍」(あづさい)から「藍雨花」としたいところだ。

アジサイは日本のガクアジサイが原種で、ヨーロッパに渡って品種改良されて日本に逆輸入され、さらに日本でも盛んに品種改良されて、今ではさまざまな色や形のアジサイが花屋の店頭に並んでいる。アジサイの花と言われている部分は実は花びらではなく、「がく」と呼ばれる葉の変形した部分の装飾花で、真ん中の小さなつぶつぶが花である。・・・などと植物学的な話は抜きにして、素人は単純に綺麗な花を楽しめばよいのだ。

アジサイは根から吸う成分によって色が変わることから「移り気」「浮気」などの花ことばがあるが、色によって青は「辛抱強い愛」、ピンクは「元気な女性」、白は「寛容」などがある。酸性土壌では青く、アルカリ土壌ではピンクになり、ピンクの花の株を買って植えたつもりが、咲いたら青い花だったという経験がある。

むかしはアジサイの花にはカタツムリがつきものだったが、最近はカタツムリがめったに見られなくなってしまった。農薬や、防虫剤、除草剤などで絶滅してしまったのだろうか。都市化に伴い乾燥に弱いカタツムリは住めなくなってしまったとも言われている。しかし、ナメクジは相変わらず鉢植えの下などにたくさんいたりするが、同じ巻貝の仲間なのにどうしてなのか。殻の有るカタツムリのほうが強いと思われるのに、進化して殻を持たなくなったナメクジのほうがしたたかだ。(2021.6.6)

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