アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.42

「枝オカリナ」

枝オカリナ

3月のある日、用事で駅前のソラモを通ったら、陶器や銅製品、木工製品やアクセサリーなど手づくり工房の店がたくさん並んでいた。その中のひとつに木の枝で作った可愛らしい楽器を「枝オカリナ」の名前で並べている店があった。前々からこの手の楽器には興味はあったが、ネットで注文するより現物を見てからと思っていて忘れていた。たまたま通りかかって目にして、興味がよみがえったので店の50歳代くらいのご主人に話しかけた。

愛知県下山村(現在は豊田市宇連野町)の標高7百メートルの山の中で自力で自宅を建てて一家で暮らし始めて26年、そこで採れた木材で注文による家具を製作していたが、子どもの頃より親しんだ音楽への思いから「枝オカリナ」の製作にのめり込み、枝オカリナ専門の工房になったという。

現在は枝オカリナの製作と販売、そして、演奏活動をしているという。自宅から20km先でも30km先でも、規定の出張費をいただければ出向いて「枝オカリナによるJAZZやボサノバの演奏」と「山の暮らしの話」をしますよという。話を伺うと山の中の「ポツンと一軒家」的な住まいかも知れない。

何種類かある中から、一般的なC調の¥3.000の「枝オカリナ」を買うことにした。自然の木だから木の種類も木肌の色もいろいろ、同じものは2つとない。そんな中から気に入った写真の品を注文した。シロモジというクスノキ科の低木の枝だそうだ。「お客さんの名前を彫りますよ」と言って、すぐに電動彫刻で「kazuhiko」と名前をアルファベットで入れてくれた。自宅に帰ってさっそく吹き方の説明書を見ながら吹いてみた。木のぬくもりのする優しい音色だ。自由にメロディが吹けるようになるにはそれなりの練習が必要だ。早くみんなの前で童謡が吹けるように練習しよう。(2021.4.4)

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