アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.33

「生物季節観測」

紅梅

ホーホケキョと鳴くウグイスの声に春を感じ、セミの鳴き声で夏が来たことを知り、赤トンボが舞う姿に秋を思う・・・日本の四季を愛でる姿は昔も今も変わらない。ただ、地球温暖化の影響か、季節がだんだん変化しているのは感じている。

気象庁は1953年より実施してきた植物34種目、動物23種目の生物季節観測の内、桜の開花やイチョウの紅葉など6種目のみを残し、ウグイスやセミの初鳴きなど、動物の観測は今年1月より全て廃止する方針との発表があった。廃止の理由に「気象台周辺の都市化」や「生態環境の変化」を挙げているが、予算と人員削減が理由にあるという。テレビでおなじみの気象予報士も「動物の全廃は余りにも乱暴過ぎる」と、みんな憤慨している。

今後は異常気象による防災に力を入れていくとのこと。確かにそれも大事だが、こうした生物の季節観測は、地球温暖化の重要な指標でもあり、これから益々必要な気がする。観測を止めることで将来に禍根を残さないかと危惧される。

15日に我が家の恒例の小国神社の初詣に行ってきた。久しぶりに風もなく暖かく晴れ渡った正月だったが、境内にはコロナ禍のため露店は何もなく、駐車場も思いのほか空いていて、静かな雰囲気での初詣だった。拝殿の前の紅梅が2分咲きほどだったが、さすがにウメは観測の対象に残った。

毎日のように佐鳴湖公園を歩いていると春のタンポポやサクラの開花、ウグイスやセミの初鳴きも観察できる。住民のボランティア観察員に依頼する方法だってあると思うが如何なものか。民間団体の支援の動きも出ているというが、佐鳴湖周辺を気象観測の基準地に指定してくれたら、喜んでボランティア観察員になってもいいのだが。(2021.1.17)

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