アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.31

「今年の漢字は『密』」

今年の漢字「密」

流行語大賞も「3密」だったが、日本漢字能力検定協会が主催し清水寺で行う年末恒例の今年の漢字も、やはり「密」だった。コロナ禍の今年は毎日のように「密集、密接、密閉の三密を避けるように」と言い続けられて来た。今年は年明け早々の1月の中国の武漢に始まった新型コロナウイルス感染のニュースは、瞬く間に世界に広がり毎日コロナのニュースで明け暮れた。

漢字の「密」の字から学んだことがある。「心」は「心臓」から、「必」は「武器の柄にする杙のあて木」の象形文字からで、似たような2つの漢字だが、成り立ちも書き順も全く違うということを初めて辞書を調べて知り勉強になった。これも「漢字研究会」のメンバーに入れていただき、漢字に関心を持つようになったおかげだ。

コロナ禍の今年は入学式も中止、修学旅行も、卒業式も、成人式も、結婚式も中止、人生最後の葬式も身内だけでひっそりと。・・・こんな世の中が来るなどとは1年前に誰が想像しただろうか。忘年会も新年会も同窓会も、祭りも音楽会もスポーツ大会も・・・とにかく人が集まることは何でも中止になった。すべて「密」を避けるためなのだ。

私の年齢になれば自分の葬式以外はすべて経験済みだが、これからの若い人たちにとって、人生に1度しかない晴れの行事がすべて中止になったら、晩年、自分の人生を振り返った時にどんな思い出が残るのだろうか。日本では、来年春にワクチン接種が始まっても、元の生活に戻れるのは再来年の4月以降との見通しである。コロナに打ち勝つなど所詮無理なこと。令和3年は、これまでの1年間の苦い経験を教訓に、仲良くしたくはないコロナと、何とか共存を図って良い思い出が残る年にしたいものである。(2020.12.27)

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