アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.28

「桜と紅葉」

小原四季桜

30年ほど昔の話、豊橋在住の職場仲間から、「桜と紅葉が一緒に見られるところがあるよ」と教えられて、「そんな夢のような話があるのか?」と半信半疑で教えられた場所に行ってみた。モミジの紅葉で有名な香嵐渓から20キロほど北の地域で、今は豊田市小原町だが、当時はまだ小原村と言っていた。

行ってみて驚いた。秋なのに村中いたる所に白い小さな桜の花が満開に咲いていて、その横や背景にモミジの紅葉が赤く色づいているではないか。「桜と紅葉」の不思議なコントラストの嘘のような本当の話に、まるでおとぎの国に来たみたいだった。それ以来、もう何度となく秋には小原地区へ行っている。

小原の四季桜は文政年間に地元の医師が名古屋から苗木を求めて植えたのが始まりで、昭和53年には地区の木に制定して繁殖に力を入れたため、今では小原地区全体が四季桜の里となっている。今年は残念ながらコロナの影響で「小原四季桜まつり」は中止になったが、お天気も良かった11月23日の祭日に行ってみた。

道の駅に寄りながら「川見四季桜の里」に着いたのは11時半ころ、「まつり」は中止でも駐車場はどこもいっぱいで行楽客で賑やかだった。政府はコロナで「我慢の三連休を」と呼び掛けたが、今年最後の三連休の全国の行楽地は大変な賑わいだったようだ。みんな近場で我慢したということだろうか、自粛の我慢も限界に来てる。

四季桜は今年も満開でとても綺麗だった。コロナで旅行もできない1年だったが、ささやかな日帰りドライブもこれが今年最後だ。コロナの感染拡大防止と経済の両輪をどうやって回していくべきか、政府も自治体も国民もみんな迷っている。(2020.11.30)

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