アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.27

「ジョロウグモ」

ジョロウグモ

秋に佐鳴湖公園をウォーキングしていると、至るところの木の枝に大きな蜘蛛の網が張り巡らされていてる。網の真ん中にいるのがジョロウグモ(女郎蜘蛛)である。日本では寒い北海道を除いて全国に生息する最もポピュラーな蜘蛛だ。成体の体長は雌が17〜30mmに対して、雄は6〜13mmと半分以下である。網の中央に大小2匹のジョロウグモがよくいるが、親子だと思ったら実は夫婦なのだ。

成熟期は9〜10月で、成熟前から雄は雌の網に居候して交接のタイミングを待って、この時期に交尾が行われるが、交尾は雌が餌に気を取られている食事中か脱皮中に行われることが多い。これは交尾中に雌に食べられてしまう危険があるためだという。何とも可哀そうな雄たちである。男を食い物にする女の姿を江戸時代の遊女にあやかって女郎蜘蛛の名前が付いたとの説も。

ジョロウグモは視覚が弱く、網にかかった昆虫などの獲物は視覚で判別しづらいので、網の糸を時々足で振動させて、そのエコー振動により獲物の場所を確認して近づき捕食する。雌が雄を食べてしまうのも、視力が弱いので獲物と間違えて食べてしまうらしい。

10〜11月頃樹木などに産卵し卵で冬を越すが、成体は寒い冬を越せないので死んでしまう。卵は春に孵化し、幼体は集団生活を送った後、バル―ニングと言って自分の糸を利用して、風に乗ってそれぞれ独立して飛び散っていく。雄は7回ほど、雌は8回ほど脱皮を繰り返して成体となり、秋に子孫を残したら冬には死んでいく。

佐鳴湖公園をウォーキングしていると1年中季節ごとに様々なドラマがあって興味が尽きない。・・・そういえば今日は「いい夫婦の日」だ。世の中にはいろいろな夫婦がいるものだ。(2020.11.22)

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