アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.13

「カニもおだてりゃ木に登る?」

アカテガニ

夏は日中暑いので佐鳴湖ウオーキングは太陽が沈んでから夕食後の6時頃に出かけることが多い。夏の夕方からはカニの活動時間になるので、歩道にカニがたくさん出ていて、うっかりすると足で踏んでしまいそうになる。「カニさん横断中」の看板もあるが、車道には車に引かれたカニの死骸もあったりして可哀そうな光景によく出会う。

佐鳴湖のカニは「アカテガニ」とう名のカニだそうだ。陸上生活に適応しているので、私がおだてたわけではないが、時々木に登っているカニをよく見かける。普段は陸上で生活するアカテガニも、成長過程で一時的に海中で生活しなければならない。浜名湖に通じている佐鳴湖はアカテガニとってはちょうど適した環境なのだ。

7〜8月の大潮の夜、満潮の時間に合わせてメスが海岸に集結し、海水に浸かりながら体を震わせ、卵の殻から2mmほどの幼生を海中に送り出し、幼生は引き潮に乗って海へ旅立ち、海中に浮遊するプランクトンなどを捕食しながら成長する。大部分は魚などに食べられて、生き残るのはわずかだそうだ。4mmほどの子ガニに成長すると陸上に戻ってくる。

陸上生活が得意なアカテガニもやはりエラ呼吸をしているので水がないと生きていけないが、逆に長時間水に浸っていると溺れてしまうという、特異な呼吸法を持っている。食性は雑食性で動物の死骸から植物まで何でも食べるが、空腹時には共食いすることもあるとか。縄張りを持たないので、身の危険を感じた時は一番近くの隙間に逃げ込む習性がある。寿命は約10年ほどだというから結構長生きだ。・・・佐鳴湖ウオーキングも色々なものに出会って面白い。(2020.8.10)

「令和つれづれ草」トップ