アンドレの「デジカメで気ままにエッセイ」No.38

“美しくも悲しい物語”

(浜松城公園にて・・・・Photo Editorで加工)


久し振りに感動し,そして考えさせられた、美しくも悲しい物語で す。もう皆さんも新聞やテレビでご存知ですよね。名古屋市の,あ る69歳の兄と66歳の妹のお話です。

重度心身障害者の兄の首に電気コードを巻きつけて殺してしまっ て、殺人罪に問われた妹が判決の前夜に癌の為、自分の判決を聞く ことなく、9月7日の夜、拘置所内で亡くなったと言うお話のことで す。

重度心身障害者の3つ年上の兄を「坊ちゃん」と呼んで、24年間も 生活保護を受けながら、ほぼ付きっきりで介護した妹は、今年1月 に癌と診断され、もし自分が死んだら1人残された兄をふびんにと 思い、自宅で寝ていた兄の首を絞めて殺してしまったというお話で す。

テレビでこの妹の若い頃の写真も見ましたが、なかなかの美人でし た。「障害者の兄がいてもいいから結婚しよう」と言ってくれた男 性もいたけど、兄の介護を選んでしまった、心の優しい妹でした。 自分の人生を振り返って、「幸せな人生でした」と語ったといいま す。

この兄妹の住んでいた借家の大家さんや、近隣の住民も、この妹の 刑を軽くするように求めた嘆願書に1,100人の署名を集めて裁判所 に提出したそうです。

最近の理不尽な殺人事件の多い中で、今回の事件は何ともやり切れ ない、考えさせられる事件でした。今頃天国で妹は、また兄を 「坊ちゃん」と呼んで介護しているのでしょうか。

今回は兄妹の介護のお話ですが、最近親を介護する子供が既に60 歳、70歳以上の高齢者になってきた、いわゆる老々介護の問題が現 代社会の大きな問題になっています。自分もだんだんそんな年齢に なってくると、嫌でも考えない訳にはいけなくなってきました。 (2003・9・20)

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