アンドレの「デジカメで気ままにエッセイ」No.1

憧れの“NikonF”

私が写真に興味を持ったのは20歳の頃、今から40年以上も昔の事です。 当時“ニコンF”は、プロか一部のハイレベルのアマチュアしか持てない超高級カメラでした。若干20歳の私が買える道理もありません。その頃、ニコンFに次いで人気のあったミノルタSR−1という一眼レフカメラを買い込んで、よく撮影会に行ったものです。 このカメラも可なり高級なカメラでした。

やがて引伸機や現像道具一式を買い込んで白黒写真の自家現像をするほど夢中になりました。家族が寝静まってから、1人2階の部屋を暗くして、白々と夜が明けるまで写真の引伸ばしに夢中になりました。 写真に夢中になるにつれて、憧れの“ニコンF”に恋焦がれる気持ちは募るばかり、毎日のように写真屋のウインドウを眺め、カタログをもらっては広げて溜息をついていました。

何事も夢中になると可能な限り最高のものを手にしないと気がすまない私は、とうとう昭和42年5月、25歳の時、意を決して憧れの“ニコンF”を買ってしまいました。確か当時75,000円と記憶しています。昭和40年前後の平均的なサラリーマンの月給が、歌にも唄われた13,800円位の時代ですから、今の金額にして90〜100万円位でしょうか。 今思うとよくも思い切って買ったものだと思います。

それからは全国的なカメラクラブ「ニッコールクラブ」の浜松支部創設に参加したり、仲間と私的なクラブを作って。毎日写真に明け暮れた若き日々を懐かしく思い出す今日この頃です。 永年大活躍をした“ニコンF”も私の眼の寄る年波には逆らえず、ピントが合わせ辛くなって、10年程前にオートフォーカスの“キャノンEOS”を買ってからは、今では殆ど日の目を見ることもなく、静かにサイドボードの飾り棚の中で、1人寂しく座り続けています。

私の写真についての知識や技術は20代の夢中になった頃に身に付いたもので、お陰でデジタルカメラの時代になっても大いに役に立っています。これからも一生写真を楽しんでいこうと思います。(2003・1・10)

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